Interview

【クロストーク in Rio de Janeiro】Kelly(モデル)×工藤めぐみ(サンバダンサー)それぞれのReal Life

◇後編:モデルもダンサーも、身体は嘘をつかない。

この8月、オリンピックで熱狂するブラジル・リオデジャネイロを訪れたモデル・Kelly。彼女が現地で出会ったのが、カーニバルのパシスタとして活躍し、オリンピックの開会式・閉会式で素晴らしいパフォーマンスを披露したサンバダンサー・工藤めぐみ。ブラジルから日本へ、日本からブラジルへ。二つの国を行き来しながら活躍する二人のThe Athletic Womanが語り合う、それぞれのReal Life。



■ブラジルの女の子は、お尻がすごくかわいい。

Kelly:ブラジルでサンバを踊る時に、苦労したことはありますか。

工藤:日本人とブラジル人は、体つきも筋肉のつき方もぜんぜん違うんです。ブラジルの人は身体がしっかりしていて、例えばサンバダンサーだけどサーカス団員もしていたり、キックボクシングをやっていたり。アスリートがサンバをやっているようなケースも時々あります。

Kelly:みんな、筋トレもやっていますか。

工藤:やっていますね。生まれつき身体がしっかりした人達が、さらにトレーニングをしている。そんな感じですね。

Kelly:日本人とは、体型がまったく違うから…

工藤:そう。こっちのパシスタの女の子って、お尻がすごくかわいいんですよ。生まれつきプリンとしているから、本当にうらやましい。彼女達はお尻を少し振るだけで、とても大きく動いているように見える。その点、私はそこまでお尻が大きくないので、彼女達の3倍ぐらい大きく振らないと、動きがダイナミックに見えない。彼女達がちょっとやればできることを、私はすごく努力しないと超えられないんです。そこは今でも苦労しています。日本人は、今までずっとお尻を隠してきましたからね。着物を着る時にはお尻を潰して、腰のくびれにはタオルを巻く。伝統がまったく逆だったから。

Kelly:日本の伝統もいいけれど、ブラジルの女性らしい身体の魅力をもっと日本でも伝えていけたらいいですね。

工藤:私はサンバを9歳からやっていて、ブラジル人ばかりを見てきました。だから普通の日本人の女の子と少し感覚が違って、痩せすぎずに女性らしくて、筋肉の付いた体が素敵だとずっと思ってきました。例えば昔から、パンツを買いに行った時に「お尻が小さく見えて素晴らしいですよ」と言われることに抵抗があって…。そう言って勧められたら「じゃあ買わなーい」みたいな(笑)。

Kelly:私は逆に、ブラジルから日本に来てモデルになったから「モデルは細くなきゃ」と言われ、痩せなくてはいけなかった。例えば、少し前のコンサバなお洋服が丈も身幅も合わず、叱られたことも…。「服が合わないから痩せろ」と言われるのは、とてもつらかったです。でも当時は何も知らないから、ひたすら食事を制限するばかりで…。夢見ていたモデルの仕事だから、細くならないと周囲からいろいろ言われる。そのプレッシャーがとてもきつかった。

工藤:日本とブラジルは、考え方がまったく逆。日本の考え方を、少しでも変えていきたいですね。

■ぜひ、日本で本格的な肉体改造をしてみたい。

Kelly:リオにいる間は、どのように体調を管理していますか。

工藤:練習がほぼ毎日ほぼあるので、ちゃんと食べないと痩せてしまう。ですから1日5食ぐらい食べて、体重をキープするようにしています。スタイル的にも痩せて細くなっていくのはダメですし、栄養をしっかり摂らないと身体がもちません。食事は自炊が基本。野菜を中心に、バランスよく。ブラジル料理は大好きなのですが、味つけが濃くてお肉が多いから、外食ばかりしていたら体調を崩してしまいます。

Kelly:こっちでトレーニングはしているのですか。

工藤:筋トレはしていません。サンバの練習の中で腹筋やスクワットをすることはありますが、ジムに行く時間はないので、ひたすら踊っています。私は筋トレが下手なんですよ。一度、東京でトレーナーさんに教わったことがあるのですが、専門の器具が必要なメニューが多く、地元にはその器具があるジムがないんですよね。そこで自分でアレンジして、正しいかどうかわからずにやっていました(笑)。一度、3カ月ぐらいみっちり追い込んで、肉体改造をしてみたいですね。例えば太ももをもう少し大きくしたりとか、そういうことを集中してやってみたい。

Kelly:ぜひ一緒にやりましょう。私も昔は何もやっていなかったのですが、昨年から筋トレを始めて、今年からアンダーアーマーの仕事が始まり、さらにやるようになりました。今は、昔と比べてかなり身体が変わったと思います。

工藤:私も「頑張ったらこんなに変わります!」というのを見せたいですね。

Kelly:筋肉はやらないとすぐ落ちちゃうから、継続してトレーニングしてご飯もしっかり食べなきゃいけない。以前はご飯を控えて、ただ単に見た目が細くて体重が少なければいいと思っていた。でも今は考え方が変わって、筋肉をつけて体脂肪率を減らすことを重視しています。体重はコントロールするけれど、あまり気にしない。

工藤:そうですよね。体重じゃなくバランスが大事。

Kelly:今、ブラジルでもフィットネスや筋トレ、トレーニングが流行し始めていますよね。ジムも増えていますし。

工藤:そうですね。こっちも、やっと健康志向になってきています。

Kelly:鍛える人が増えましたね。食べ物は新鮮なフルーツを使ったジュースやサラダとか、もともとヘルシーなものがあった。それに加えて今は、ヘルシーフードのレストランもできている。日本はその辺が遅いかな。少しずつ増えているけれど、まだまだ少ない。

工藤:そうかもしれませんね。私も筋トレをしっかりやれる環境があったら、きっと身体が劇的に変わると思います。日本にいる8カ月でしっかり身体を作り、こっちにいる4カ月で踊りまくる。そんなライフスタイルを築けたら最高です。身体は絶対に嘘をつきませんからね。いいも悪いも、すべて出てしまう。

Kelly:モデルはただ笑っているだけでも、体調や精神状態などいろいろなことが写真に出る。鍛えていれば写真に出るし、怠けても出る。嫌なことがあってそれを引きずっていても、逆にハッピーなことがあっても、すべて写真から見える。結局、幸せは自分の中にあるもの。自分が今幸せだと思ったら、それは人に伝わる。だから表情を作るのではなくて、心から笑うために、いつもハッピーな気持ちでいることが大事だと思います。

■これまでの人生に、後悔はまったくありません。

工藤:モデルもダンサーも、評価は人それぞれ。主観的なものだから、その分、自分をしっかり持っていないとダメになってしまう。自分を信じることができなかったら、決してやれませんよね。特にモデルさんは、本当に大変な仕事だと思います。

Kelly:「見せる」という部分でよく似ています。自分をよく見せるには、やっぱり自信がなきゃいけない。自分の大きな力になってくれるもの、私はこれをやって来た、というものがないといけない。私も自分をどう表現しようか悩んだこともあったし、そういう経験が、大きな気づきを与えてくれた気がする。

工藤:モデルさんは本当に努力が必要だし、ただスタイルがよければできる仕事ではないんだと実感します。

Kelly:ところで、工藤さんの今の目標は何ですか。

工藤:私はそろそろ、次のステップに進みたいです。私だけが一人で走るのではなく、後に続く人を育てたい。私、10代からやりたいことさせてもらって、これまでの人生にまったく後悔していないんですよ。今のこのタイミングでテレビ番組で取り上げていただけたし、オリンピックの開会式・閉会式にも出ることができた。もちろん私自身もまだまだ踊り続けますが、次の世代につないでいくのは、今からやらないと間に合わない。この経験を次の世代に伝えていきたいですね。今、日本で教えている下の世代の子達が、かなり育ってきている。彼女達がブラジルでチャレンジするのを後押ししてあげたい。もちろん、私が経験したファベーラでの生活はかわいそうなので(笑)、そこまでやれとは言いません。私が苦労したことは上手くフォローしてあげたいし、オーディションを受ける時などは推薦してあげたい。バックアップできることはしてあげたい。そのための土台を今、作っている。そんな状態です。

Kelly:すごい! 尊敬します。

工藤:もちろん、いろいろとハードなことはありますよ。「リオで生きるの大変! 皆さん、私の言うこと聞いてますか~!?」という感じです(笑)。

Kelly:それ、よくわかります(笑)。今回はいろいろなことを話すことができて、本当にいい刺激をもらいました。工藤さんからは、すごいパワーを感じます。

工藤:パワーがないと、ここでは生きていけませんから(笑)。今日はどうもありがとうございました。ケリーさんぜひ、これからも仲良くして下さい!

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