Interview

なでしこジャパン・宇津木瑠美 「グラウンドでは闘志を胸に。グラウンドを出たら女性を楽しむ」(Part.3)

サッカー女子日本代表・宇津木瑠美インタビュー(Part.3)

カナダで開催中のFIFA女子W杯2015。スイス、カメルーン、エクアドルを相手に3連勝し、首位での決勝トーナメント進出を決めたなでしこジャパン。その一人でありアンダーアーマー/DNS womanの契約アスリートでもある宇津木瑠美選手は、ここまでサイドバックや守備的MFでプレーして勝利に貢献。そのユーティリティ性は連覇を目指すチームにとって欠かせないものとなっています。そんな宇津木選手のインタビュー・最終回。世界で戦う女子アスリートとしてのサッカーと美へのこだわり、そして今後の目標についてお話をうかがいました。

女性らしさを高めることで、競技にもポジティブに取り組める。

――Part.2では筋肉についてお話を聞きましたが、宇津木選手自身も美しい筋肉の持ち主です。やはり、筋肉のある身体には美しさを感じますか?

「はい、筋肉があることをマイナスイメージでとらえる人もいますが、それは違うと私は思います。女性であっても正しい刺激を与えれば筋肉はつくし、筋肉があるからこそ美しさ、セクシーさをもった身体がつくれます。全身をバランスよく鍛えれば、身体のラインが出て美しさや女性らしさを表現できるので、私もそれを目指しています。」

――実際、宇津木選手のように世界で戦うアスリートの方は、激しいトレーニングを常に行っているし、強いメンタルも求められる。そのため、女性らしさを維持するのはなかなか難しいイメージがあります。

「グラウンドの中では戦うという強い気持ち、つまり、闘志を常に胸にもつ。そして、グラウンドから一歩外へ出たら、女性であることを楽しむ。私はその切り替えをしっかり意識して、サッカーをやっているつもりです。

 四六時中、競技のスキルアップを考えることも大切かもしれません。でも私の場合、女性らしさを高めることが、サッカーにポジティブな要素をもたらす。女性としての士気が高まる気がするんです。サッカーだけ、スポーツだけではなく、それ以外の時間は女性であることを楽しむ。それにより自信が生まれ、競技にもポジティブに取り組めると思っています」

――その女性らしさを、宇津木選手はどんな部分で表現していますか?

「ネイルアートは、女性として自己表現をする上での楽しみの一つです。それと、海外で生活をしていると、欧州の選手の美意識の高さには刺激を受けますね。オフの日にパーティーをすると、みんな身体のラインや肌をしっかりと出した洋服やドレスを着てきます。そして全員から「誰よりも、自分が一番美しくいたい」という気持ちをすごく感じる。グラウンドでの雰囲気とは、まったく違います。

 それだけ、自分の身体に自信があるんでしょうね。「魅せられる身体を私は持っているのよ」という強い自信がある。だから、女性として常に何事にもポジティブでいられる。それは絶対、競技にもいい影響を与えると思います」

――日本の選手にそういう意識はありますか?

「2つのタイプに分かれている気がします。競技だけに集中する人と、競技と女性らしさの両方を考えられる人。私は後者。女性らしくしても、競技を捨てたりはしません。、

 日本の選手も、女性であることをもっと楽しんでもいいと思います。自由に、枠を作らず自分を表現すべき。本来、みんないいポテンシャルは持っているはず。そこに女性らしさを加えることは、必ずいい刺激になる。だから、女性らしさを押し殺す必要はないのかな、と」

2019年W杯、そして東京五輪は最高の状態で。だからこそ"今"に手を抜かない。

――トップアスリートとして、そして女性として必要な美しさを常に意識して取り組んでいるという、揺るぎない意志を感じます。そのモチベーションは、どのように維持しているのでしょう?

「モチベーションを維持するって、究極ですが自己満足ですよね(笑)。自分がいいと思うことはいいわけで、自分の理想を目指すのは、結局、究極の自己満足のため。それを目的に日々を過ごしている。もちろん、人間だから時には気分が乗らないとか、だめな日もあります。

 私はそういうネガティブな状況の時は、無理に何かをして乗り越えようとは思いません。私自身が夢中になれる、自分になれるサッカーに打ち込むことで、気づいたらいつの間にか解決していることが多い。自然な気持ちでいることで、モチベーションを保つことができている。そんな気がします」

――最後に、宇津木選手の今後の目標について聞かせて下さい。

「今回のW杯、来年のリオ五輪で活躍することはもちろんですが、2020年の東京五輪の時に最高の状態でいられるよう、今を過ごしたいと思っています。それと、その前年の2019年には、W杯がフランスで開催されます。自分の成長を促してくれた国ですから、ぜひ、そこでも結果を残したい。

 そのために何をすればいいのか。やるべきことは何なのか。それを突き詰めていくには、まず自分自身をもっと知らないといけない。年齢もあるので、目標から逆算しながら取り組んでいきたいです。今がだめなら先はないし、先のために今がある。だから今に手を抜かない。そんな気持ちでいます。例え明日、サッカーをやめることになっても後悔しないぐらい、今、しっかり取り組みたいと思います」

描く未来を手繰り寄せるには、結局は"今"という時間が大事。インタビューの最後に何度もそう繰り返した宇津木選手。その"今"の積み重ねが、どんな相手にも屈しない強靭な身体とぶれないメンタルを作り出しているに違いありません。そんな宇津木選手がきっと、なでしこジャパンを再び頂点へと導いてくれることでしょう。

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