Interview

なでしこジャパン・宇津木瑠美 「グラウンドでは闘志を胸に。 グラウンドを出たら女性を楽しむ」(Part.1)

サッカー女子日本代表・宇津木瑠美インタビュー(Part.1)

 6月6日にカナダで開幕したサッカーのFIFA女子ワールドカップ2015。なでしこジャパンでの活躍が期待される宇津木瑠美選手にW杯への意気込み、世界と戦うためのフィジカル強化、アスリートであることと女性らしくいることの関係性などのお話しをうかがいました。W杯期間中、全3回にわたってお伝えしていきます。

壁を超える近道は自分を知ること。

――いよいよW杯。前回大会の優勝に続く連覇への期待が高まりますが、現在の心境はいかがですか?

「日本という国を背負って戦う大会なので、個人の成果や目標ありますが、まずは4年に一度しかない大会であるということと、とにかく国を背負って戦うんだということを肝に銘じて、試合に向けて戦う準備をしていきたいと思っています」

――前回のW杯の時と比べて、自分自身が感じる変化や成長はありますか?

「前回はフランスのチームに移籍してまだ間もなかったんですが、あれから4シーズンを過ごして、そうですね最近といいますか、海外での生活も影響して、自己管理を日本にいた時以上に意識するようになりました。この4年間で、自己管理がプレーに反映するということを痛感する出来事も多く、自分をよく知り、何が一番、自分に大切なのかを考える機会が増えました。

――痛感した出来事とは何だったのでしょうか?

「やはり、ケガをした時や思うようなパフォーマンスが出せない時は、日本にいるなら言葉が通じる分、何がいけないのか、何をしたらいいのかを他人に相談し、対応策を教えてもらうことができる。でも、フランスにはそういう環境がない。そんな中でケガやスランプなどで壁にぶつかると、その答えは結局、自分一人で探さないといけないんです。

 ケガの場合はある意味、わかりやすい。だけど一番難しいのは、ケガはしていないしコンディションも悪くないのに結果が出ず、思うようなプレーができない時でした。その時に誰かに手を差し伸べてもらうのは、海外ではとても難しかった。

 そういう経験を積む中で、壁を超えるための答えにたどり着く近道は、普段から自分を知っていることだと思いました。壁に当たった時こそ自分をしっかりと理解して、何が足りないのか、何をやるべきかがわからないと、次に進めない。そして、自分自身で答えを導き出せるようにならなくてはいけない。そんな経験から学び、それが自己管理の意識が変わった、という部分につながっていると思います」

「ポジティブなところをよりポジティブに」という考えで自己研鑽。

――壁にぶつかった時には「自分をよく知る」という作業が大切とのことですが、そこからさらに取り組まれたことはありますか?

「思考回路を変えてみたことです。よくも悪くも日本は、できないことをできるようにしよう、とか、ネガティブなものをポジティブにしよう、という取り組みをするイメージがあります。

 でもフランスなど欧州はそういうやり方より、ポジティブな面をよりポジティブに、長所をさらに伸ばそうという考え方です。その思考回路を実践してみた結果、自分にストレスを感じることが減り、常に目の前の課題に取り組めるようになりました」

――短所を長所に変えようではなく、プラスの部分に注目してそこをさらに伸ばそう、という考え方は、欧州というかフランスならではですか?

「そうかもしれないですね。海外の選手はそういう選手が多いかも。あと、やはり自分ができないことを取り組んでいる間ってストレスを感じますよね。そしてそれに取り組んでいる間に、逆に自分が得意としていたこと、できていたことを見失う可能性もすごくある。自分が100%だと思ってやっていたのに実際は10%の成果しか残っていなかった、ということも多いんです。

 そういう意味では、できないことに取り組むより、できることをよりできるようにする、という考え方が自分には合っていました。ですから、長所をさらに伸ばしていくスタイルで自分の武器を磨き、世界と戦っていきたいです」

――W杯での活躍が大いに期待されます。この大会を機にレベルが上のクラブに移籍するなど、キャリアアップの未来図は描かれていますか?

「強いチームにいるから自分がすごいとは思わないし、自分のスキルと所属チームのレベルは関係ない。強いチームを経験することはいろんな意味でいいことだと思いますが、結局は試合に出られなければ意味がない。フル出場と途中出場、控えとチームによって変わると思いますし、そうなると1試合の重みが違う。私はそういう意味でもコンスタントに試合に出ることができて責任感が常に身につく環境にいたい。

 あと、言い方が悪いですけど、強いチームは上手い選手がそろっている分、自分のミスが他の人によって補われ、それに気づかず過ごしてしまうことがあると思うんです。そういう意味でもミスに気づいてそれを修正し、自分がチームを引っ張ってあげられるように成長しなければいけない。強豪といわれるチームでプレーすることだけが、スキルアップの道ではないと思います。自分が常に成長できる環境があるチームでプレーする。私はそこに魅力を感じて、サッカーをしています」

(Part.2に続く)

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