Interview

アルペンスノーボーダー・竹内智香「時代の常識にとらわれず、進化し続けたい。」(Part.3)

アルペンスノーボーダー・竹内智香選手インタビュー(Part.3)

アンダーアーマー/DNS woman 契約アスリートで女子スノーボード・ソチ五輪銀メダリストの竹内智香選手。グローバルな視野で考え抜いた身体作りを行って自身を磨く彼女のインタビュー最終回。現在の竹内選手がもつ、揺るぎない信念とは?

■人間としての評価が、強さを生み出す。

――ここまでお話を聞き、競技者として高い意識で取り組まれていることがわかりました。その一方、ブログに「今年は人間としても女性としてもいろいろなことを楽しんでいきたい」と書かれていましたね。

「日本を離れてスイスに行ってから、スノーボードはもちろん競技環境作りのために、例えば語学だったりボードの開発だったり、スノーボードに関することは何でもできる選手になりたいと思い、どんなことにも真剣に取り組んできました。でも振り返ると、私はスノーボードしかやってこなかった。スノーボードがなくなったらただの人。自分の価値って何だろう。そう考えるようになったんです。

だから、今年はいろんなことに挑戦してみたい。国際スキー連盟(FIS)のアスリート委員会にも入りましたし、スノーボードという枠にとらわれず、いろいろな世界を見て、人間としてたくさんのことを学んでいきたい。その積み重ねが、結果として一人の人間、一人の選手としても強くなることにつながる。選手としても、人としても評価されたいと思っています」

――美しさに対する意識も、高めていらっしゃるように思います。

「アスリートとして、女性らしさを表現することの大切さを知ったのが、ソチの五輪の表彰式。しっかりとメイクをして表彰台に上がったのですが、とてもたくさんの人に見ていただきました。その時、これまでにない感覚を得ることができたんです。女性として少しでも美しく、華やかに装うことで、スポーツに魅力を感じてくれる女性も増える。そう思っています」

■ただ常識を鵜呑みにするだけでは、勝てない。

――アスリートとしての競技パフォーマンスの向上、そして女性としての美しさ。そのいずれにおいても大切なのは、食生活だと思います。食事管理はどのように行っていますか。

「今は、食事でしっかりと栄養を補うように心がけています。それと他の選手には驚かれますが、実はお菓子も結構好きで、たまに食べています(笑)」

――アスリートとしては、なかなか珍しいことかもしれませんね。

「世間には常識がありますよね。個人の中にも、組織の中にも常識はある。私もそれはよくわかっています。でも常識にとらわれて、いいと言われたら何でも手を出し、悪いと言われたら手を出さない、というのは違う。

 私は必要に迫られないと、どんなことにも手出しせず、行動もしないタイプ。今は必要ないものでも、年齢を経て必要となる時がくるかもしれない。逆に今は必要でも、時間が経てば不要になるものもある。その時その時の状況や気持ちの中で、必要なものを見極めてチョイスしていけばいい。そんな考えです。

 もしかしたらその考えは、世間の常識からずれているかもしれない。周りから見れば、もったいないとか、損をしていると思われるかもしれない。でも勝つためのプロセスにおいて、常識はそれほど必要なものじゃないし、決まりもない。なぜなら、ただ常識を鵜呑みにするだけでは勝てないから。

アスリートは皆、いろいろな角度から物事を見て、分析して、創意工夫をしながら勝利という結果につなげていくものです。例えば高地トレーニングも、今でこそよく耳にする方法。でも、もともと常識では考えられえなかったこと。また、私が世界で結果を出し続ければ、私がスイスを本拠地として競技に取り組んできたように、日本人選手の強化を他国で行うことが当たり前になる日がくるかもしれない。

つまり、今、自分が信じてやっていること、信念を持ってやっていることがいつの日か常識になることだってある。日本の強化に変化を与えられる可能性だってある。だから私は時代の常識にとらわれることなく、進化し続けたいと思っています」

――では最後に、今シーズンへの意気込みを語っていただけますか。

「一番大事なのは、何事も継続すること。シーズンオフのリフレッシュを経て、今はすごくモチベーションも高い。この気持ちを維持しながら、新シーズンを迎えたいですね」

 今の自分にとって何が必要なのか。強くなるためには何を取り入れるべきなのか。その時その時で、自分にとって最も有益なものを選択していく、と語る竹内選手。強さと美しさを併せ持ち、人間的な魅力にあふれる彼女は新シーズン、どんな輝きを放つのか。さらなる飛躍に期待したい。

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