Interview

プロテニスプレーヤー・澤柳璃子「今の私がいる理由。 揺るぎない目標とライバルの存在」(Part.3)

プロテニスプレーヤー・澤柳璃子インタビュー(Part.3)

プロテニスプレーヤーでアンダーアーマー/DNS womanの契約アスリート、澤柳璃子選手のインタビュー最終回。今回は世界のトップを目指す上でのメンタル強化、そして、アスリートが表現する女性らしさについて聞きました。

勝負所で、自分を突き上げる。

――テニスという競技の特色ですが、試合が長期戦となることもしばしばあります。集中力が一つのカギになると思いますが、メンタル強化はどう取り組まれていますか?

「3~4時間を超えるゲームはよくありますし、最初から最後までとにかく動き回るので気が抜けません。だから、集中力の維持が勝敗のポイントとなります。

 試合の中でもアップダウンがあり、必ず『ここぞ!』というキーポイントが出てきます。そこでしっかりとギアをあげられるよう、普段から意識しています。自分自身のギアを上げる能力は、普段の練習からも鍛えられるものです。だから集中力を一気に高められるよう、メンタルに働きかける練習はしています」

――「自分自身のギアを上げる」とは…?

「同じような内容の練習を繰り返し行ったり、負荷をかけたトレーニングをすると『少し疲れてきたな』と思うことがあります。その意識はフィジカルにも影響を与えて、そこまで維持していた力を下げてしまいます。『疲れた』『つらい』という意識が、パフォーマンスを低下させるのです。練習で感じたそういう意識をそのままにしておくと、試合の中で同じような場面になった時、やはり同じことが起こります。

 だから『疲れてきたかも』という意識が自分の中で少しでも芽生えたら『いや、まだまだ、ここから』と、自分で自分を突き上げる。そこは強く意識して、気持ちを盛り返すようにしています。練習でやったことはそのまま試合に出ます。ですから練習でも試合でも、勝負所でギアを一気に上げることを、普段からイメージしています」

――今年、特にそのメンタルを感じさせたのは、優勝した5月の韓国での大会。澤柳選手の精神力の強さが、いかんなく発揮された印象でした。完全アウェイの雰囲気の中で戦う心境は、どうだったのでしょう?

「私がミスをするたびにスタンドから大きな歓声と拍手が巻き起こっていました。試合前からそれは覚悟していたし、普段の練習で意識している成果なのか、それほどは気にせずプレーに集中できました。

 とはいえ、私がミスをするたびに観客席が盛り上がるので、発想を換えて『ああ、これはみんなが私を応援してくれているんだ』という気持ちでプレーしていました。自分に都合のいいように、マイナスをプラスにとらえて(笑)」

――そういう部分も澤柳選手の強さの表れですね。

「でも、もっと強い自分になりたいです。座右の銘ではないですけれど、サッカーの長友佑都選手がよく言う『意志あるところに道あり』という言葉と、元プロテニスプレーヤーの杉山愛さんの『遊戯三昧』という言葉が好きなんです。テニスという競技をしていて、本当にそうだなと感じます。その2つの言葉を常に頭に入れて戦っています」

2020年五輪出場は、自力でつかむ。

――ここまでお話を聞き、澤柳選手からはアスリートとしての強さをとても感じます。では女性アスリートという視点からは、女性らしさ、美しさをどう表現したいと考えていますか?

「テレビなどで、表彰台に立つ女性アスリートの方々を見ると、素敵だと感じます。でもテニスの場合、表彰式には試合直後の汗だくの疲れ果てた姿で臨むので、そういう場で同じような美しさ、素敵さを表現するのはなかなか難しいかもしれません。

 でも、テニスの場合はウエアが女性らしさそのものを表現してくれています。アンダーアーマーのウエアもそうですが『女性らしい勝負服を着こなす』という意味でも、皆さんに女性らしさ、美しさを見ていただけるのではないかと思います」

――最後に、これからの目標を教えて下さい。

「ウィンブルドンでは予選会で敗退となりましたが、来年は本選に出場できるよう取り組んでいきたい。これからUSオープンもあるので、気持ちを切らさず、出場したらいいパフォーマンスをすることを心がけたいです。それができたら、どんどん次につながっていくと思うから…。そしてさらに上を目指し、世界ランキング100位台に入りたいですね。

 それと、2020年には東京五輪が開催されます。20代半ばの年齢的にちょうどいいタイミングなので、絶対に出たい。テニスの場合、世界ランキング60位以内に入っていれば出場はほぼできると聞きます。自国開催だと開催枠がありますが、そのころには60位以内に入り、自力で五輪出場をつかみ取りたい。そして出場するだけじゃなく、メダル、表彰台を狙っていきたいです」

 ウィンブルドンという夢舞台への挑戦の結果は、ほろ苦いものとなった澤柳選手。しかし、一つの貴重な経験として結果を受け止め、次なる戦いに視線を向けている。20歳の挑戦はまだまだ続く。

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