Interview

「したいことは自ら発言しないと始まらない。」14年ぶりのWカップ地元開催へと導いた強い想いとは

アンダーアーマー契約アスリートで女子スノーボード・ソチ五輪銀メダリストの竹内智香選手が、今月28日から北海道旭川市で行われるFISスノーボードワールドカップ旭川大会に出場します。旭川市といえば、竹内選手の生まれ育った場所。熱い戦いが期待される凱旋試合に向けての心境を聞きました。

「集中力に欠ける時こそ、焦らずにできることをやる。」

――地元旭川市でのワールドカップ(W杯)が開催されます。心境はいかがですか?
地元開催のWカップには今回で2回目の出場になるのですが、前回は14年前。その時と比べると自分の状況は大きく変わっていて、多くの人たちが注目して応援してくれる。ソチ五輪(2位)や世界選手権(3位)の結果の後に、地元開催のW杯のスタートに立てるのはすごく楽しみで、きっと五輪や世界選手権に匹敵するくらいの楽しさがあるんじゃないかなと思いますね。

――今シーズンここまでの戦績を踏まえて、大会への手ごたえはいかがでしょうか?
そうですね、今シーズンは夏からかなり良い調整ができていました。しかし、いざシーズンとなると普段なら気持ちが高まるんですが、その感覚がなくて…。今シーズン、フライングを多くしてしまったり。集中力のない自分を表していると。初めて、『あ、気持ち切れてしまっているのかな』っていうのを感じました。ソチ五輪で燃え尽きたというか、その影響は少なくともあると思います。だけど、そんなしっくりこない中でも世界選手権ではいい形で臨めましたし、そのあとはW杯で4位とコンスタントに上位に食い込めてはいるので、結果に満足はしていないけど、そのはがゆい部分は焦らずにやれることをやって上位を狙っていきたいと思います。

「プレッシャーを感じることほど、選手として幸せなことはない」

――地元ということでプレッシャーはあったりするのでしょうか?
私は五輪や世界選手権のようにたくさんの人たちに自分の滑りを観てもらえるのが、自分の楽しさのひとつでもあるので、もちろんプレッシャーもあるんですけど、そういうプレッシャーを感じることほど選手として幸せなことはない。期待されないことのほうが悲しいと思うから、そういう意味では応援やプレッシャーをかけてもらえるほうが楽しみです。

「大好きなスノーボードをより認知してもらう、そしてメジャースポーツにするための第一歩」

――今回のW杯旭川での開催に向けて、竹内選手も一役買っているとか?
いえ、私はほとんど何もしていなくて、ただ、五輪後、市長さんに表敬訪問した際に、W杯誘致をお願いしました。

――どのような気持ちで、市長にW杯開催をお願いしたのですか?
ソチ五輪の前に、メダルを獲ったら、W杯の日本開催と海外で行われるレースを日本で中継してほしい、という2つの想いがすごく強かったんです。やはり、それがスノーボードがメジャースポーツになる、認知してもらえるための第一歩になるんじゃないかなと思っていたので。メダルを獲ることは、私自身の目標でもありましたけども、それらを達成するための1つの手段でもありました。その結果、メダルを獲得し、帰国した際に旭川市長にお会いする機会をいただきまして、『W杯を旭川で開催してください!』とお願いしました。今こうして現実になったのは、市長を始め誘致してくださった皆さんのお蔭だと思うので、今度は選手である私達が結果で旭川の方々に日本の方々に恩返しをする番なのかなと思っています。

――自分が願っていたことが形になるというお話を聞くと、竹内選手の自己実現力の高さを感じますね。
私自身、欲しいと思ったものや、したいと思ったことは比較的できていると思いますし、とにかく、したいと思ったことは発言しないと始まらないと思います。そのように、本当に強く願えば叶うと信じています。

「弱い部分に目を向けると、本当に一気に崩れ落ちてしまいそうな気がしていたから」

――竹内選手からは強い意志を感じますが、その原動力は何なのでしょうか?
単身でスイスに渡った時に培った、ポジティブなものを見つける力でしょうか。当時は、とにかく独りという意識がすごく強くて、頼る場所もないですし、本当に自分が強くないといけなかった。でも、芯の強さが元々あるわけではなくて、逆に弱い自分がいた。だから、その弱い部分に目を向けると本当に一気に崩れ落ちてしまいそうな気がするから、ある意味強がって、そして、不安に思うことや逃げたくなるようなことも多くあったけども「もう嫌だな、苦しいな、日本帰りたいな」というその中でも前向きなものを見つけていました。そんな嫌なものは見ない、良いものを見るという力が今に活きているのかなと思います。

「応援してくれるみなさんに恩返しがしたい」

――ご自身の滑りを通じて伝えたいことは何でしょうか?
レースは1対1の勝負というとてもシンプルなものなので、観ているだけで楽しめると思いますし、私は何かを伝えるというよりも結果という形で応援してくれるみなさんに恩返しがしたいですね。また、4年後の五輪を見据えた時、最初の2年は様々なことを試す時だと考えているので、挑戦しながらその中で数字を出して上位のランキングに居続けることが大事だと思っています。

完全燃焼するほどの力を尽くしたソチ五輪後、初めてのシーズンを迎えた竹内選手。
その影響か、普段とは違う自分を感じながらスノーボードと向き合っています。しかし、そんな自分を否定することなく、自己分析し、自分自身を受け入れながら、ポジティブに勝負へ挑んでいます。そんなところからも竹内選手の揺るがない強い意志を感じます。強く願っていた地元旭川でのW杯。竹内選手の「恩返し」はきっと観る人にたくさんの楽しみを与えてくれるはずです。

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