Column

原綾子コラム「矢印はいつも自分」

「日本の女性はベイビー 、世界のトップはマチュア」

  2012年12月に開催されたミス・ユニバース世界大会で、アッと驚くことがありました。それは、当時24歳だった私より年齢の若い女性達が、とてもマチュア(mature:成熟した)な大人の雰囲気をまとっていたことです。

 ミスコンテストは"ビューティーオリンピック"といわれるほどの美の祭典。世界中の美しい女性達が集まり、それぞれの感性で自分自身を魅せることで競い合います。私はこの世界大会に向けて約4年の準備期間を設け、自分の思う美・日本基準の美・世界基準の美について徹底的に見つめ、ゼロから自らを高めてきたつもりでした。

 日本で生活をしていると、この国には独特の美の基準があることに気づかされます。例えばテレビをつけると見た目がとてもかわいらしく、白くてガリガリな身体、フリルやリボンの付いた衣装を着ている女性を、たびたび目にします。ここ数年は特に、子どものようにかわいらしい見た目の女性が人気です。そして身体は細ければ細いほどよしとされ、その影響か、体重計の数字をあまりにも気にしすぎている人が多いように思います。実際に私の知人は体重を気にしすぎるあまり、摂食障害になってしまいました。

"kawaii"という言葉は、新しい日本文化になりつつあります。それを感じているのは私だけではないと思います。そんな日本では、ミス・ユニバースのようにデンジャラスでグラマラスな意志のある女性像は異次元の存在だ、ということを痛感させられます(※これはどちらがいい、どちらが悪い、という話ではありません)。

 日本で街を歩く女性達を観察していると、体型を隠すためにふわりとした大きめな服を着ている人をよく見ます。また、せっかくヒールを履いているのに、着地時にヒザが不自然に曲がって姿勢が崩れ、見ている方が不安になってしまう人もいます。

 ぜひ、自分に問いかけてみて下さい。あなたのセールスポイント、アピールポイントはどこですか?

 体型の気になる部分を必死で「隠す」のではなく、自分のボディラインを知り、それに合ったシルエットの服を選べば、かなりスタイルアップできます。また、ヒールを取り入れることは女性の特権。ヒールはセクシーさを意識できるアイテムです。せっかくヒールを選んだのですから、スニーカーとは違う、ヒールならではの歩き方をマスターしてほしい。そうすれば、街で振り返られるようなオーラを醸し出すことだって可能です。

 そういった"魅せる"スキルが高い女性と、何も知識のない女性とでは、チャンスが訪れる回数も格段に違います。つまりあなた自身の美の力が、目標達成に大きく関わってくるのです。

意志をきちんと伝える。それができれば迷いは消え、前に進む覚悟を持てる。

 世界トップの女性達はマチュアな心と身体を持っています。そして彼女達は「伝える」ことに高い意識を持っています。実は世界大会期間中、ホテルの朝食会場で、それぞれの国の代表が母国をプレゼンするという、プログラムにはない場面に出くわしました。私がとても心に残っているのは、その時のミス・スイスの言葉です。

「私の母国に、賄賂はほとんど存在しない。政治やビジネス、もしかしたらこの場でも、そんなことが行われているかもしれません。でも国として永世中立を掲げながら、常に両者の意見に耳を傾けること=平等を意識できることは、幸せに直結していると思います。

 私が生まれ育ったスイスの国民には、今を幸せだと言える人がとても多い。私は物質的な利益ではなく、心でしか受け取ることのできない幸せを、世界に伝えられる人間であり続けたい」

 23歳の彼女が堂々と話す言葉に曖昧さはまったくなく、彼女は心からそう思ってここにいるのだと感じました。日々自分が何を考えているのかを、外に向けて意思表示すること。好きなもの・嫌いなもの・大切に思うもの・会いたい人・掲げる未来像などをきちんと伝えられること。それらができるようになれば迷いは消え、前に進む大きな覚悟を持つことができるはず。そしてその時は、自然と意志のある顔つきになっていることでしょう。

いつ世界に行っても、誰とでもにこやかに対等に話ができる人間でありたい。

 日本女性に足りない要素の一つが、意志を明確に相手の元に届けること。あえて伝えずに隠す美学、奥ゆかしさ。それらが日本ならではの独特な感性であることは理解しているつもりですが、友人や知人と会話していると時折、「結局、何を伝えたいのかな?」とわからなくなることも多々あります。

 私自身にもこれまで、伝えたつもりでも相手に表面的にしか伝わっていなかったような経験がたくさんあります。世界に出て、伝えることのスキルの大切さを実感したからこそ、日常での曖昧な答えを少しでも減らし、自分の意見を常に明確にすることを追求したい。そしていつ世界に行っても、誰とでもにこやかに対等に話ができる人間でありたい。

 私は、世界に出ても恥ずかしくない女性としての力を磨き上げねばならない、という危機感を常に持っています。世界のトップから見ると、日本女性は「ベイビー」。そんな印象を作っているのは、ぱっと見の外見的要素だけではありません。発言力や魅せ方においても、日本と世界に大きな差があるのは明確です。

 でも、ベイビー=赤ちゃんには特権があります。それは前後・左右・上下・斜め、どんな方向にも柔軟に成長できるということ。私は日本女性の中に眠っている大きな可能性を信じ、これからも、多様性のあるジャパニーズビューティを引き出す活動をしてまいります。

 最後に私から、質問を一つ。
「あなたが思う"運命の定義"とは何ですか?」

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