Interview

清澤恵美子(アルペンスキー)「"オリンピックに行く"と口に出すことで、必ず行けるという確信に変わってきた。」

「トレーニング方法を変えたら、目に見えて結果がついてきた」

―――清澤さん、本当にいい身体ですね。筋肉がしっかりついた引き締まった脚。そして素晴らしい腹筋。日頃のトレーニングの賜物ですね。アスリートなので当然かもしれませんが、トレーニングに対する意識がとくに強まったのはいつ頃ですか?

『ドームアスリートハウス(DAH)』でトレーニングするようになってから大きく変わりましたね。「こんなトレーニング方法があるんだ」と感じることがたくさんあって。それまでは、スクワットやベンチプレスをするとき、たとえば10回×5セットならそれを一気に続けていたんですね。でもDAHではスクワットを1セットやったら次に必ずストレッチ。使った筋肉を伸ばすプログラムが入っているんです。というのは、使った筋肉をよりしなやかに動かせるようにプログラムされているんです。いい筋肉をつけるだけではなく、その筋肉をしっかり動かせるようにする。そこまで考えてプログラムされているんです。この方法が私にはとても合っていて、これまでは毎年のように肉離れを起こしていたんですが、DAHに来てからすごく少なくなりました。


―――どんなペースでトレーニングをしていますか?

月曜日から金曜日まで毎日ですが、負荷をあげるのは週4日です。真ん中の水曜日はリカバリーデーといって少し負荷を下げ、有酸素運動や腹筋を中心に行います。


―――時間としてはどのくらいかけているんですか?

通常約4時間くらいですかね。4時間以上になると一気に行うのはキツイですし、お腹が空いてきたり血糖値が下がってしまったりするので、午前と午後に分けることもあります。


―――トレーニングメニューはトレーナーが考えてくれているんですか?
 
はい、DAHの友岡トレーナーにすべて任せています。単純にプログラムが組まれているのではなく、今日の体調はどう? とか、睡眠時間どう? と日々気にしてくれていて、その日の状況に合わせてアレンジしてくれるので本当に助かります。


―――体調はけっこう日によって違うものですからね。やはりトレーナーが付いてサポートしてくれるのは違いますか?

一人でトレーニングしていると、「単純な有酸素運動はイヤだからエアロビクスでいいや」みたいなこともあったんですが(笑)、そんなことはトレーナーが付いているとありませんよね。もっと高次元な部分で言えば、自分ではちゃんとやっているつもりだったのにやり方が違っていたり、大雑把になってしまうことって結構あるんです。そういうときに、「ちょっと肩が上がってるよ」と指摘される。自分では気づけない部分が絶対にあるのでとても感謝しています。でも、いくらトレーナーさんに言われても自分が意識をしないとダメなんですよ。すべては意識の問題だと思うので、たとえば「お尻を意識して」と言われて自分の神経をお尻に集中させて。とにかく意識をそこに傾けるようにして練習しています。


―――DAHの友岡トレーナーの元に来てから、目に見えて結果が出てきましたね。

そうですね、一番大きな結果はナショナルチームに入り、ワールドカップで2本目に進出できたこと。ここまで結果に直結するなんて自分でも驚く部分もありました。フィジカルが強くなると、日々のスキートレーニングにも変化があるんですよ。昔は1分くらいの練習コースを滑るのに一本で息を切らせていたのが、今はずいぶん楽にできるようになりました。足への負担も減って何本も練習ができるようになったんです。そういう意味でDAHでのトレーニングは、“いっぱい練習するための練習の場”という感じですね。やっぱりいっぱい練習すると、必ずスキルアップすると思うんです。スキルアップさせるためにたくさん練習しないとダメなんですけど、たくさん練習できる身体がないとできない。それができるようになったことは本当に大きいですね。身体が目に見えて変わって、まわりに人にも「締まったね」とか「キレがあるね」と言ってもらえるようになって。見た目も数値も明らかに変わっていることが自信につながっています。

「いい身体を作りたいから、サプリメントは当たり前の選択」

―――清澤さんはサプリメントを積極的に活用しているそうですが、サプリメントの重要性に気付いたのはいつ頃、何がきっかけですか?

使い始めたのは高校生のときです。親から「サプリメントを飲みなさい」と言われたことですね。でも当時は練習で疲れ果てて飲むのを忘れてしまったり、うまく活用していたとは言い難いですね。本格的に使うようになったのは大学に入ってから。大学は寮生活で食事は自分で作らないといけなかったこともあり、栄養のことを考えるようになったんです。パフォーマンスのためにもいい筋肉をつけたいと考えるようになって、プロテインを飲み始めました。


―――比較的、早い段階から取り入れているんですね。

そうですね、確かに当時、まわりの子には「プロテイン飲んで何になりたいの」「筋肉を大きくしてどうするの」みたいなこと言われていましたから。プロテイン=ボディビルダーというイメージがあったんだと思います。私は全然気にせずに飲んでいましたけど(笑)。


―――いい身体を作りたいという意識のほうが強かったんですね。

そうですね、練習してプロテインを飲まないことのほうがもったいなくてしょうがないくらいでした。正しい知識はなかったですけど、飲まなきゃいけないもの、練習したら飲むべきものというイメージで飲み続けていましたね。とくにDAHでトレーニングするようになってからはさらに意識も変わってきて。激しいトレーニングをしているので、飲まないと身体がもたないという部分もあります。


―――プロテインを飲むようになって何か違いは感じますか?

余分な脂肪がなくなりましたね。ちょっと体脂肪が落ち過ぎてよくないかと思うぐらいなんですけど(笑)。でも身体のキレがいいし、次の日に疲労が残らないので毎日ハードなトレーニングをできる。やっぱり、いいトレーニングをしていい筋肉をつけるためには、いいプロテインやサプリメントを摂って、いい休養をしなきゃいけないと思うんです。それがあるから、次の日にまたいい練習ができる。


―――プロテインはどこのものを摂っていますか?

DNSの『ホエイプロテインG+』を使っています。今はバニラ味とチョコレート味を1:1か2:1で混ぜて飲むのがお気に入りです。遠征中は鉄分が不足しがちなので、DNS WOMANの『ホエイフィットプロテイン』のダブルベリーを飲んでいました。鉄分、ミネラル、ビタミンをしっかり摂れるんです。


―――20代後半になって、体に対する考え方や意識で変わってくることはありますか?

リカバリーに対する意識が強くなりましたね。本当は20歳の頃と何も変わらないよって言いたいんですけど(笑)、やはり回復が遅くなったと感じることもあって。なので、とにかくリカバリーを大切にする。そのなかでサプリメントはすごく私にとって重要ですね。


―――そのために摂っているサプリメントはありますか?

DNSの『R4』が手放せません。長く選手生活を続けるためには、とにかくケガをしないことが重要だと思うんです。練習しっ放しでリカバリーをしないと、怪我のリスクが多くなると思うんですよ。そのリスクを減らすためにも、プロテインだったりサプリメントをかならず飲んで、健康な身体で練習に挑むっていうことが大切になってくると思います。


―――そのほか、取り入れているサプリメントはありますか?

練習前にアミノ酸を摂るようにしています。あとは、『ビタミンスーパープレミアム』と『ZMAスーパープレミアム』『ジョイントスーパープレミアム』を毎食後にとるようにしています。スキーの場合は海外遠征も長いので、そのときはサプリメントなしではもはや成り立ちませんね。


―――身体づくりの根本的な意味では食事も大事だと思いますけど、何か気を付けていることはありますか?

とにかく身体がエネルギーを必要としているので、炭水化物はしっかり摂るようにしています。特に昼ごはんをしっかり取ろうと意識しているんですけど、多いときはお弁当屋さんでふたつ買って食べます(笑)。私、本当にすっごく食べるんですよ。


―――ハードなトレーニングは食べないとできないってことですよね。

そうですね、やはり圧倒的なパワーが必要になってくるので、量を食べないとダメですね。あとは野菜が不足してしまうので野菜ジュースを毎日飲むように意識しています。習慣的な部分では、夜遅い時間には絶対に食べません。というのは、夜遅くに食べてしまうと、寝ている間に胃を動かさないといけなくなるんです。そうすると次の日に疲れが残ってしまったり胃がもたれたりするので練習にも影響が出てしまうので、遅い時間には食べないようにしています。

「女性の身体を理解しないと、本番で勝てない」

―――女性の身体のリズムにも気を遣っていると伺いました。

そうですね、元々、生理前に胸が痛くなるのが悩みの種だったんです。うつ伏せになってストレッチするだけで痛いし、イライラやストレスもあって些細なことでも気になってしまうというのを感じていて、そういうことが解決できないかなと思ったことが気を遣うようになったきっかけです。


―――具体的にどんなことをしているんですか?

ピルを飲み始めました。外国人はピルが身近で、とくにアメリカ人はみんなピルを飲んでいるんですね。私も初めはピルというとちょっとハードルがあったんですが、今はピルなしではちょっとダメですね。胸の痛みも減ったし、生理をコントロールできるというのが本当にスポーツ選手としてはありがたい。試合中に生理が来ると集中力が欠けるし、何よりイライラする。ピルを飲むことで試合が終わったあとに生理を持ってくることができて、ノンストレスで試合を迎えられるようになるんですよ。実は前にピルを欠かしたことで失敗してるんですよ、私。ちょうどピルを切らしたままワールドカップの試合を迎えて、当日すごくイライラしてしまって本当に些細なことで怒ってしまったんですね。試合当日に怒るっていうことは、選手として絶対にダメなことなんですよ。なぜかというと、怒るってすごくエネルギーを使うし、当然、試合に集中できなくなる。怒ったら負けなんです。なのに、大事な日に怒ってしまった……。結局そのワールドカップでは、決勝に残る30人の枠に5/100秒差の31位で行けなかったんですね。それがその年の最終戦だったのに。たぶん試合前に怒ったりしなかったら、5/100の差なんて縮まった差なんじゃないかなって。いい気持ちでスタートが切れていれたら、5/100差なんてなかったんじゃないかって。自分が精神的に不安定な状態でスタートしたばっかりにそういう結果を招いてしまったことは、今でも悔やんでいることなんですね。大切なレースになんで切らしちゃったんだろうって。それ以来、絶対に切らさないようにしています。


―――でもそうやって女性特有のことを解決する手段があることを知ったのは大事なことですよね。

学びましたね。やっぱり大きな代償だったかもしれないけど、学べたということは来シーズンに繋がることなので大きいと思います。

「“ただ強いだけじゃこれからはダメだ”と母に言われてお化粧始めました」

―――少し競技から離れたお話を伺います。ブログを拝見していたら“アスリートと女性性の両立”というテーマがあって、とくに海外のスキーの選手たちが美しいと書いていたのが気になりました。

本当にすっごくキレイな選手が多いんですよ。有名なところではアメリカのリンゼイ・ボン選手。キレイで実力もあって本当に何もいうことナシなんです(笑)。何年か前まではメイクをしてない選手もたくさんいたんですよ。でもおそらくリンゼイ・ボン選手の影響だと思うんですけど、ヨーロッパの選手も今はみんなきれいに化粧してるんですね。試合前日のコース公開日はすっぴんでも、本番はゴーグルの上からアイラインが見えるほどくっきりメイクしている選手も多くて。それもファンサービスなんですよね、外国では。私ももともとすっぴんでスキーしていたんですけど、母親から「これからはただスキーが強いだけじゃダメだ」って言われて(笑)。やっぱり人から応援されるってことはその人の姿も見るから、キレイにしていることは大事だと思うようになりましたね。でももちろん、勝ったときの笑顔は化粧してなくてもきれいだと思うので、やはりまずは実力をつけて勝っていい顔するのが目標。そのうえで、化粧をきれいにしている人を見るともっと素敵だなって思いますよね。私、今でも忘れられないのがトリノオリンピックの荒川静香さん。あの表彰台の上での顔が忘れられないですね、本当にきれいで。


―――清澤さんはお肌のことも気を遣っているみたいですし、ネイルなど一女性として美容も楽しまれている印象です。

神奈川クリニックさんが応援してくれているんです。やっぱり強いだけじゃだめでしょう、TV画面に映った時にたくさんシミがあったら見てもらっている人に申し訳ないでしょう、って。スキーは標高の高いところでトレーニングしますし、上からも下からも強い紫外線が照り付けているので肌には気を付けるようにしています。リフトの上ではゴーグルを外さないようにしたり、普段は化粧水でしっかり保湿するようにしたり。時間があるときは寝る前にパックをしながら読書するのが好きなんです。

「オリンピック、行きますよ!!」

―――いよいよオリンピックまで半年を切りました。身体の仕上がりはいかがですか?

この夏はDAHの多良コーチと新しいトレーニング方法を考えたんですよ。スキーは斜面を滑り下りるプラス遠心力のかかるスポーツなんですが、陸上ではこの2点を作り上げることはとても難しいんです。コーチと試行錯誤を行い、いかにスキーフォームを陸上で再現できるかを考えました。いきついたのが、足元に斜面を作り、後ろから太いチューブを使って遠心力と斜度を生み出して姿勢作りを行う方法。トレーニング前に意識することで、重心の位置、持ち上げる方向、力の入れるポイント、力の抜くポイントなど、その後のウエイトトレーニングにも意識の変化が生まれました。


―――手ごたえがありそうですね。

そうですね。実はプライベートでちょっと大変なこともあったんですが、「過去を見るよりソチを見ろ!」と目の前の目標に向かって頑張れたことは、自分でも成長だったと思っています。理由は何でもがむしゃらにトレーニングに集中で出来たこと、必死にやれたことは本当に良かったと思っています。


―――これから五輪まではどんなスケジュールで過ごすのでしょうか?

約40日間のトレーニングを積んでから、いよいよワールドカップ開幕です。フィンランドでの開幕から5戦目となる1月14日のフラッハウまでで、8位以内1回、20位以内を2回とれば規定クリア。1月22日前後に五輪出場者の内定発表があります。


―――いよいよ本番までのラストスパートです。

ワクワクドキドキです! 先日、所属先の社長に「金メダルを目指せよ!」と声をかけていただき、自信をもって目指そう! と思うようになりました。最近は本当に沢山の方に「五輪にいけそう?」という言葉をかけて頂きますが、その際に笑顔で自信を持って「はい、行きます!」と答えています。始めは不安があったんですが、そう答えるうちに今では必ず行けるという自信と確信に変わってきました。私は常に挑戦者なので、いつも前向きに自信をもって挑戦していきたいと思っています。


―――最後に、五輪への意気込みをおねがいします。

4年前のバンクーバー五輪では候補選手にもなれませんでしたが、その時からメダルを狙えるようになりたいと思って頑張ってきました。DAHでトレーニングを始めてあっという間の4年でしたが、この4年間で世界ランキングが250位から31位まで上がりました。成長させてくださったことに感謝して、五輪は思い切って戦っていきたいと思います。これまでずっとオリンピックは超特別なものだと思ってきました。でも、理由はなぜだか自分でもわからないんですけど、この4年間でなぜか超特別なものではなくなってきた気がするんです。アスリートとしては、どんな大会も、どんな時も1位を目指すことは当たり前。オリンピックだから金を目指すというよりも、目の前の大会に対して常に魂を込めて戦っていきたいと思っています。そうすれば自ずと道は開けてくるはず! そう、信じています。

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