Interview

出原由佳子さん (慶應義塾大学ラクロス部女子)  「二連覇という目標を立てられるのは今、日本で慶應だけ」

2012年の女子ラクロス界を圧巻した慶應義塾大学ラクロス部女子。関東学生リーグ、全日本大学選手権、そして全日本選手権すべての試合に勝利し、文字通り"完璧な日本一"を達成。そのチームの要であり、全日本選手権では見事MVPにも選ばれた出原由佳子さん。2013年度はチームの新キャプテンに就任。今期にかける意気込みから、アルバイトや学園生活などのプライベートまで、スポーツガールの"今"を大公開。

「ディフェンス視点のラクロスを知って、競技の奥深さにハマってしまいました」

U19女子日本代表でキャプテンを務め、日本一に輝いた昨年の全日本選手権ではMVP。そして今季は、慶應義塾大学ラクロス部女子のキャプテン。どこからみても、ラクロスの申し子のような出原由佳子さんがラクロスを始めたのは高校生のとき。小学校、中学校でプレイしていたバレーボールを続けようと思っていたが、高校のバレーボール部は人数が揃わず試合に出られない状態。だったら別のスポーツを、と選んだのがラクロスだった。
「ラクロスはみんなが初心者でスタートが同時だからいいな、くらいの軽い気持ち。フィールドを走ってシュート打つだけならそんなに難しくもなさそうだし(笑)。もちろんこれは大きな誤算で、実際はクロスを扱うのも難しいし、コーチがいないので正しいプレイがわからなくて困ったりすることも多かったです。ただチームワークがとてもよくて、楽しさだけでやっていた感じです。幸い結果もついてきて、ティーンズカップという高校生の大会で3年生のときに関東3位になりました。3位決定戦で決めたこともあって完全燃焼! という気持ちで、大学でラクロスを続けるつもりはまったくなかったんです」と意外なことを言う。
 というのも実は出原さん、高校時代はラクロス以上に熱中していたことがあったのだ。中学3年生から個人的に習いが始めたヒップホップ系のダンスである。
「SAMさんのスタジオに通っていてラクロスより真面目にやっていたくらい。スタジオ代が安い深夜に夜通し踊って、そのまま寝ずにラクロスの朝練に行くような生活していたんです、今思うとおかしいですよね(笑)。とにかくダンスが大好きで、大学生になったらダンスサークルに入って遊ぶぞー! と、大学生活が楽しみで仕方なかった」と笑う出原さん。予定どおり、大学に入ると迷いなくダンスサークルに入部。高校の先輩たちから誘われていたラクロス部は断って。
「体育会なんて絶対無理! って思っていたし、何よりダンスで自由な4年間を楽しく過ごす予定でしたから(笑)。でも実際は、入部するとすぐに物足りなさを感じるようになってしまったんです。サークルの目標意識とか達成意識がどうにも低く感じてしまって。たぶんそれまでずっと運動ばかりやってきたので体育会気質が染みついちゃってるんですよね。結局またラクロスが気になるようになって、ダンスはスタジオでやればいいやと思って、6月半ばにラクロス部に入部したんです」
 遅ればせながらラクロスを再開。しかしそこで待ち受けていたのは、高校時代のラクロスとはまったく違うものだった。
「入部してすぐ、“え、これ、同じスポーツ!?”って思ったくらい。高校生のときは、自分がボールをもらったらゴールに向かって走ってシュートを打つことしか考えていなかった。どうやってディフェンスを崩すかとか、スペースを奪ってボールを繋ぐかとか考えたことなかったんですよ。だから大学に入って概念自体が完全にぶっ壊されましたね。自分がどうしたいかじゃなくて、自分がいい場所にいくためにどうディフェンを崩すか、なんだと。ディフェンス視点で考えるラクロスというのが本当に新鮮でした。今になって思うと本当にバカみたいな話なんですけど、自分ひとりで点を取るんじゃないんだ、仲間を使ったり、逆に仲間に使われて点を取るおもしろさというのを知って、ラクロスはチームスポーツなんだ、奥の深いスポーツなんだと気付きました。それからはもう、ラクロスにどっぷりですよ(笑)」
 さらに、高校のラクロス部で一緒だった先輩たちのラクロスに対する姿勢も刺激になった。
「高校のときはただ楽しんでいただけだったので、“え、どうしたんですか、そんなに真面目に練習しちゃって! 先輩たち変わり過ぎですよ!” みたいな感じ(笑)。でも逆に、その変貌した先輩たちの熱さが刺激になりました。やっぱり日本一を目指すというのは大変なことで、日本一を目指せるチームに入ったんだという実感がわいてきました」

「目標はもちろん、全勝で二連覇。新しい慶應の歴史を作ります!」

ラクロスを再開すると同時に、瞬く間に日本ラクロス界の階段を駆け上がった出原さん。昨年は日本ラクロス史上初となる完全制覇という強烈な体験を経験した。
「私の代は入部してから前年より成績が落ちたことないんですよ。すごくラッキーな時代に慶應でラクロスをやっていると思っています。そのなかでも、去年の経験は特別なもの。ずっと大学生のなかで一番になることを目標にしていたのが、勝ち進んでいくうちにすごく自信がついてきて、社会人相手でも全然物怖じしない気持ちが出来上がってきて。シーズン最後のほうは“うちら絶対いけるでしょ”って言える強気なチームになっていて、社会人相手でも遠慮せず、いい意味で同じ目線で戦えたのが結果的に勝ちにつながったと思います。しかも、自分じゃなくて“チームが強い”って思えたし、そのチームにいることをみんなが誇りに思っていました。練習中でも試合でも上下関係なく意見を言い合えて、みんなが切磋琢磨して最高レベルでチームワークが築けていた。その結果が日本一だったんだと思います」
 その偉業をキャプテンとして引き継ぐ2013年がスタートして約3か月。前人未到の二連覇に向けてチームは発進した。
「実はシーズンが始まった当初はちょっと不安もあったんです。今の2年生以下は負けを経験したことがなくて、それが弱点になるんじゃないかって。私の代までは悔しい経験もしてきていて、悔しい思いをしたくなければ練習するし、泥臭くボールを追いかけることも当たり前にできる。でも下級生たちは、慶應は強くて当たり前、勝って当然、先輩はうまい人って思っている。でもそれは絶対ダメで、先輩を先輩と崇めないで自分が試合に出たいって本気で思ってもらわないと。先輩後輩とか関係なく同じ目線で見ないとチームは強くならないと思うんです。これまで練習や試合でそのことをさり気なく伝えていって、少しずつチームの意識も変わってきているとは思います。キャプテンとしてプレッシャーはもちろんありますけど、今は新しい慶應の歴史を作っていくことにワクワクする気持ちのほうが多いです。目標はもちろん全勝で二連覇。去年、全勝で日本一になっているので、それを超えなきゃ意味がない。逆に言えば、二連覇する以外に去年を超える道はないんです。二連覇という目標を立てられるのって、今、日本で慶應だけ。それってやっぱりすごく誇れることだと思うし、去年のチームへの感謝が改めて湧いてくる。二連覇を目指せる環境があるからこそ絶対に二連覇取りたい。本当にワクワクしています!」

<プライベートショット>出原さんのオフタイム「好奇心が強くて何でもやってみたいタイプ。やるときはすべて120%です!」

慶應幼稚舎時代の仲間たちとビーチパーティー。「幼稚舎時代からの仲間は異常に仲が良くてプライベートでは一緒にいる時間が長いですね。もうほとんど家族みたいなものです」

ラクロス中心の生活ながらも、ラクロス選手である前に当然、大学生。学校の授業があり、アルバイトや仲間たちとのプライベートな時間もある。そんな出原さんのプライベートタイムを聞いてみた。
「去年までは学校の授業もたくさんあって大変だったんですが、3年生までに単位はほとんど取ってしまったので実は今年はそんなに忙しくないんですよ(笑)。ラクロスも週5日ありますけど、練習は早朝なので昼以降は基本的に自由。けっこう勉強もちゃんとするんですよ、私(笑)。今はとくに英語の勉強を頑張っていますね。あとは、アルバイトもしていますし、友達と映画を見に行ったりご飯を食べたり。試合の多いシーズンじゃなければ夜も遊びに行っちゃいます(笑)。

オフの日も、春はスケボー、夏はサーフィン、冬はスノボ三昧です(笑)。もちろん、家族と一緒に過ごす時間も大事だし、ラクロスが最優先だけど、“ラクロスだけ”という生活とはちょっと違うかも。

ダンスサークルを退部したあとも続けているダンス。今でもイベントなどでときどき踊っている。

私、ほかのことをいろいろやったほうが気付けるんですよ。たとえばサーフィンをやると、ここが? って思うところが筋肉痛になったりしますよね。あれ、ラクロスではここの筋肉使ってないのかとか、結構そういう発見が好きで(笑)。ラクロスは大好きだし、今、一番力を注いでいることであることは変わらないけど、それだけになる必要はないのかなって思っています。好奇心が多すぎてやりたいことは何でもやっちゃうタイプだけど、やるときは何でも120%やってるって言いきれます。ひとつに集中力を保てるタイプじゃないですけど、やるときはやるし、切り替えは早いんですよ!」

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