Interview

馬場ゆかり 「強さと、爽やかさと、女性らしさと、バランス良く持っていたい。」

「自主的に考えるようになって初めて、ゴルフが楽しくなってきた。」

――――ゴルフは何歳から始められましたか?

小学校2年生からです。父親がかなりスパルタな人で(笑)、強制的に習い事を決めてしまうんですよ。ゴルフ以外にも習字、ピアノ、剣道、英会話と習っていて、子どもなのに毎日かなりスケジューリングされていましたね。父は早くにお父さんを亡くして何もできなかったぶん、自分の子どもには何でもさせたいっていうのがあったらしいんです。習い事だけじゃなくて勉強にも厳しかったです。

―――文武両道、すべてに全力投球なんですね。

中途半端にはやるな、やっていることはすべて極めろ、という感じでした。親としては、勉強や習い事のなかで何かひとつでも将来の役に立てばということだったんだと思います。

―――習い事のひとつが本当に職業になりましたね。ゴルフを選んだ理由は?

子どもの頃は剣道のほうが好きだったんですよ、本当は。でも、中学校に入学したら剣道の練習日を減らして、その分をゴルフに充てられたんです、勝手に(笑)。

――――やはりお父さまのご意向ですね(笑)。

子どもの意志なんて全然尊重してなかったんで(笑)。「どうしたい? 何したい?」なんて聞かれたことないですから。

―――でも、そのちょっと強引な導きでゴルフの世界に入って、実際にプロになれたことはすごいこと。いつ頃からゴルフを好きになりましたか?

高校2年生くらいですかね、やっぱり成績が出せるようになってきてからかな。ちょうど、厳しかった親の態度が少し変化した時期に重なるんです。親自身も学んだみたいで、頭ごなしに叱ったり厳しくするだけではゴルフはうまくならないとわかったみたい。それからはただ怒るんじゃなくて、「もし失敗しても、同じようなミスを繰り返さない方法を考えろ」という教育方針に変わってきた。そうしたら、やらされているゴルフから自主的に考えるようになってきて、いいスコアが出せるようになってきたんです。それからですね、楽しくなってきたのは。それと、高校の友達がすごく応援してくれたんですよ、「絶対にプロになってね」って。まわりに応援されるようになって、これは自分がしっかり頑張らなくちゃ、って思うようになりました。

――――――――プロになろうと決意したタイミングは?

それはまた親の勧めで(笑)。実は高校を卒業したら大学に行こうと思ってたんです。体育の教員免許が取れるようなところに行こうかなと。でもちょうどその頃、父が知り合いの女子プロの方にプロテストを受けることを勧められたらしく、結局それに従いました。ここぞというときはやっぱり父の影響が大きいですね(笑)。

「プロ11年目。これからは大人のゴルフをしていきたい。」

――――プロになって11年目。そのキャリアでまだ30歳とは、ずいぶん若い頃からプロの世界で生きてきたのだと実感します。

10年なんて本当にあっという間。この10年で女子ゴルフ界もずいぶん変わりました。私がプロになった頃は同年代の女子はあまりいなくて、本当に大人のなかに子どもがまじっているみたいでした。でも今は19、20歳くらいでも優勝してしっかり稼いでいる子がゴロゴロいる。

―――若くて実力のある人たちが出てくるなかで戦っていくために、新たに取り組まれていることはありますか?

やっぱり20代前半と比べると身体が変わってきているので、身体との向き合い方は確実に変わっていますね。たとえば、若干、体力の消耗が早くなったり、疲労を感じたりするぶん、休息をしっかり取らなきゃ、栄養のことも考えないと、とか。ゴルフのことだけじゃなくて、その周辺にあることに時間を使ったり、見つめ直す時間を作ったりするようになったことが大きな変化です。

―――トレーニングも変化はありますか?

下半身と体幹をさらに強化するようにしていますね。筋力はもちろんですけど、柔軟系が大事なんですよ、ゴルフって。回旋系の動きが多いスポーツなんで、関節が硬いとスイングにいきてこないし、ケガもしやすい。関節まわりの可動域を大きくしなくちゃいけないので、肩甲骨、股関節のストレッチを重点的にやっています。

――――筋力だけじゃないんですね。

パワースポーツとはやはり違いますね。もちろん、パワーで打つ場面もありますけど、その次は静かに打たなきゃいけなかったり。どちらもできないといけない。

―――馬場さんは小柄ですけど、そういうハンデを感じることはありますか?

やっぱり大きいほうが身体を大きく使えるし、体重がなくても身長でしっかり飛ばせるので、そういう意味ではすごくハンデはありますよね、本当は。ただ私の場合、よくトレーナーに言われるんですけど、関節がすごく柔らかいらしいんですよ。だから身体が小さいわりに大きく振れる。自覚はあまりないんですけど、身体がゴルフに合っているのかも。親には本当に感謝しています。

――――――――ゴルフは精神面や経験がモノを言う場面もあると思いますが、経験を積まれた今、どんなゴルフをしたいですか?

ゴルフって、若いときは若いときなりの良さがあり、年数が経てば経つほど経験が積まれてまた違った味わい方がある。だからこの10年間も同じ1年なんてまったくないんです。1年1年変わってくるし、1回1回違うことが起きる。本当に面白いスポーツ。

――――10年のキャリアは大きな財産ですよね。

10年の経験で技術面が明らかに成長しているんです。そういうことが実感できるのも面白い。これからはその経験をもとに大人のゴルフを目指していきたいですね。

―――大人のゴルフ! 気になる言葉ですね。

ハハハ、なんですかね、大人のゴルフって(笑)。まあ要するに、ただ飛ばすだけではなく、もっと細かいアプローチとか、小技の技術を磨いていくということですかね。経験がないとできないゴルフというか。そういうゴルフができるといいなと思ってるし、していかないといけないと思う。

「強いだけじゃなく、人間としての魅力を備えていきたい。」

――――ゴルフは精神面が重要なスポーツでもあると思うんですが、気持ちを安定させるために何かやっていることはありますか?

ゴルフはプレイしている時間がすごく長いし、プレッシャーがかかる場面ではものすごくエネルギーを使う。うまくいかないと歯がゆい気持ちになるし、気持ちに左右されるぶん精神的疲労が半端ないんです。なので、「ゴルフ以外の時間」が実はものすごい大切で。ゴルフ場にいるときはゴルフのことだけを考えて、ゴルフ場から離れたら普通の女性に戻る。メリハリがとっても大切ですね。そうしないとキツくてとてもじゃないけど続かない。

―――オンの時間のプレッシャーは軽減させることはできないから、オフの時間を緩めるんですね。

ゴルフから離れることが一番大事なんです。そうするとことでより、ゴルフのときはゴルフに集中できる。

―――勝負のプレッシャーにはどのように立ち向かっているんですか?

4~5年前からメンタルコーチを付けて取り組んでいます。一緒に今の自分を細かく見つめ直してもらいながら、次の試合はこういう攻め方をしようとか、プレイスタイルもその都度、考えながら進化させています。

―――メンタルコーチが付いて効果を感じますか?

面白いくらい変わってきた実感がありますね。今までは自分の殻を破れない部分があったのが、今はそれをうまく破ることができるようになった。たとえばでいうと、これまでの自分のベストスコアがフォーアンダーで68までしか出したことがないとします。ある日、たまたますごく調子がよくて前半でいきなり4つバーディーを取り、このままいけばベストスコア維持。でもこういう場面って意外と、ベストスコア以上にもっていくことができないんですよ。ある程度自分が調子いいなって思うと、どっかでブレーキがかかっちゃう。

―――自然とどこかで満足してしまう部分があるとか?

満足感もあるし、恐怖感もあるんです。なんだろう、この調子の良さ、怖いぞって。メンタルコーチについてもらって、そこを修正していきましたね、ブレーキをかけずに攻めていこうって。前向きな気持ちで攻めると、あっという間にベストスコアを超えたりするんです。それは本当に面白い経験でしたね、気持ちひとつなんだなって。

―――新しい姿勢で臨めるようになったんですね。今後の目標はありますか?

みんなが「カッコいいな」というアスリート、ゴルファーになりたいですね。私のなかでのアスリートらしいかっこよさって、強さと、爽やかさと、女性らしさがうまくバランスを保っている感じなんです。ゴルフだけしているなら強さだけでもいいのかもしれないけど、ゴルフから離れたらそれはどうなのかな、と。アスリートとして強いのは当然だけど、人間的にも魅力的でみんなから好かれるような人間じゃないとダメだと思う。そしてこれから先は、今まで以上に女性らしさも大事ですね。

―――『W-EVOLUTION』は強さだけじゃなくて美しさ、女性らしさとの両立を応援していきたい部分があるので、その考え方はとても共感できます。

今までは単にカッコいい選手になりたいっていう気持ちが強かったんですよ。でも、結婚相手も早くみつけないといけないって思うし(笑)、女性らしさも大切じゃないかと。人間として、女性は女性らしさも必要だなとより意識するようになりました。

―――結婚の話が出ましたので、結婚観についてお伺いしたいです。

はい、早く、今すぐにでも結婚したい派です(笑)。よく高校生のときクラスにいましたよね、20歳には結婚して子ども産むって言ってる子。私そういうタイプでした(笑)。

―――でもプロゴルファーになったらなかなか20歳は難しい。

できないですね、タイミング的に20歳では。だからプロになってからは現実的には25歳くらいにはって思ってたけど、これも全然無理でした(笑)。

―――そして30歳になりました。

これまた全然で(笑)。この仕事していると難しいですよね、正直。やっぱりツアー中はずっと忙しいですし、家を空けることになりますから。そういう意味ではプロゴルファーの生活を理解してくれて、尊重してくれるかどうかもすごく大事ですね。

―――好きなタイプは?

アスリートが好きです。モヤシみたいな人はダメ(笑)。あと、愛情深い人がいいですね。父の子どもたちに対する愛情というか尽くし方が半端ないんですけど、ああいうのを見て育ってきたから、愛情たっぷりの人じゃないとダメだなあ。

―――お父さまがハードル上げちゃったかも(笑)。

かなり(笑)。父みたいな背の高い人が好きだし。あ、でも身体がデカくても肝が小さい人はダメです、ちょっと失敗したことあるんで、ハハハ(笑)。でも本気で35歳までには結婚したいですね。私、子どもが大好きなんで子どもを産みたいっていうのもあります。ゴルフ人生を全うして、そのあとは家庭に力を注ぎたい。

―――女性としての幸せも大事にしたいということですね。

もちろんゴルファーとしてもっともっと長くやっていきたいから、それは当然の目標のひとつ。それと同じように女性であることも大事にしたい、という感じです。女性しかできないことをもっと経験していきたいですし、本当にひとりの女性としていい人生を歩みたいと思います。

―――憧れる女性像は?

逞しいお母さんになりたいですね(笑)。お父ちゃんなんていらない! くらい。いや、もちろんいりますけど(笑)。

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