それでもスポーツがやめられない

それでもスポーツがやめられない

チームが一丸となって勝利に向かって練習に励み、紆余曲折がありながらも、最終的にはその努力が報われ見事に勝利! その経験を通じて一生の仲間ができた――。

たとえばこんな具合に、サクセスストーリーとして語られることが多いスポーツの世界。でも当然のことながら、実際に起こっていることはそんなきれいごとばかりじゃない。誰もが「勝ちたい」「うまくなりたい」「タイムを縮めたい」という思いで頑張っているけれども、思うように勝てなかったり、レギュラーになれなかったり。また、チームの仲間との人間関係やモチベーションの違いに思い悩むこともしばしば。さらに、理不尽な規則、先輩や顧問の態度、監督やコーチのジャッジに納得いかないこともたくさんある。大好きなスポーツをしているはずなのに、「なぜこんなに悩まなくちゃいけないの?」と、悩みがあること自体に苛立ったり、嫌悪感を持つことも。

でも、現役チームガールと経験者、約250人にアンケートをとった結果、そんなことは誰もが持つ共通の悩みであることが浮き彫りになった。と同時に、驚くほど多くの人が、その経験を前向きに捉え、肯定していることも明らかになった。誰もがいっぱい悩んで、こっそり泣いて、ときにはケンカ。山と谷をいったりきたりしながら、それでもスポーツを続けているチームガールたち――。そうした前向きな気持ちのワケを知るために、アンケートに答えてくれた元チームガール5人に集まってもらい、「それでもスポーツをやる理由」を探っていくことにした。

座談会参加者プロフィール

Nさん
(20代後半)
小学校~高校までバスケットボール部。大学~現在はラクロス部。すべてのステージでキャプテン経験有り。
Iさん
(30代前半)
幼少期は体操、中学は陸上部。高校は海外で陸上、クロスカントリー、バレーボール、フィールドホッケー、タグフットボールなど。
Mさん
(40代前半)
小学校はポートボール部、中学校~高校の途中までは陸上部。大学は同好会でハンドボール。
Kさん
(20代前半)
小学校3年生~大学卒業まで剣道一筋。
Tさん
(20代前半)
中学校はバスケットボール部。高校~大学までチアリーディング部。

摩訶不思議なルールがまかり通る部活の世界。

私は中高時代にバスケ部だったんですけど、今考えるとおかしな規則がありましたね。エスカレーターに乗っちゃいけないとか、電車で座っちゃいけないとか(笑)。練習用のパンツの色にも規則があって、後輩は黒しかダメ。そんな規則が冊子になっていて。

私たちは、先輩は短パンでOKなのに1年生だけブルマ。何の意味があったのか(笑)。

剣道部では先輩から声をかけられた時にいつでも反応できるように、後輩は校内で音楽を聴くときはイヤフォンを片耳しか付けちゃいけないっていうルールがありました(笑)。

理不尽といえば、やっぱり上下関係とか、監督や顧問ですよね。中学は上下関係が厳しくて、先輩が言うことは絶対。何回も部室に呼び出されて正座させられたり。その理由は今考えるとほとんどいいがかりみたいなもんですよ(笑)。暴力はなかったし、イジメまではいかないけど、中学生の部活特有の文化みたいなものがありましたね。

私はチアリーダーをやっていたんですが、大学のときは応援団のなかにあったこともあって矛盾が多かったですね。後輩は地べたに座るとか(笑)。ほかの運動部の応援にも行くんですが、たとえば雨天中止の競技の場合も、雨でも1年生は2時間前に現地に行く。当然、会場には選手もこない。ずっと待たされた挙句に「中止になったから」ってあっさり。

中高時代は顧問も怖かったですよね。バスケ部だったんで、体育館でひたすらボールを投げつけられていました。先輩にムカツクという感覚もあるけど、それより顧問が厳しくてそれに耐えることで精いっぱい。

バレー部の友達から聞いた話ですけど、バレー部の先生が生徒にボールを思いっきりぶつけるってこともあったみたい。

私自身はそんなにひどくなかったですけど、先輩は顧問に責められ過ぎて痩せちゃったり。高校時代は先輩より顧問の存在が大きくて大変でした。

みんなが同じモチベーションとは限らない。

大学のときは同好会だったから、高校までガッツリやっていた人もいれば初心者もいて、レベルもモチベーションもバラつきがありました。私は大学から始めた側で、自分がうまくなっていくのが楽しくてやってたんだけど、もともとやってた子から見るとお遊び程度っていう感じだったみたい。だから、そういう子たちはやっぱり不満があったみたいで、練習に来なかったり。こっちとしては困るけど、価値観が違うから強制することもできない。

そういうこと、ラクロスはどのチームにもある話だと思いますよ。ラクロスって日本では新しいスポーツの部類に入るから、プレイヤーのレベルもモチベーションも幅があるんですよね。私は中高時代にけっこう本気でバスケをやっていたからその差をすごく感じるんだけど、中高時代はチームが強かったこともあって本当にやりたい人しか残らないし、モチベーションが違うとか言っている隙もない。でも大学では、バイト優先っていう人がいたりして。特にひとつ上の代の部員数が多くて、モチベーションの差が3段階くらいに分かれているんですよ(笑)。乱暴に分けると、うまくて勝ちたい人、ヘタでも勝ちたくて頑張る人、ヘタで勝ちに興味のない人っていう感じに。仕方ないとは思うけど、私の学年は一番上を目指そうっていう学年だったから、3つめのカテゴリーの人たちの気持ちって理解できなかったですよね。モチベーションの差はそのままチームのレベルに関わってきますから、個人競技じゃないので。どうにかモチベーションを一緒にしたくて上の代とは対立して、いろいろ話し合ったけど、最終的にチームはまとまらずに終わりました。

私たちも経験者と初心者が入り混じっていたけど、「関東大会出場を目指そうね」とみんなで意思統一してました。私は経験者だったんで、強くなりたいなら今のままじゃダメだよねっていう思いがあって、やっぱりちょっと孤立したこともありました。

堂々といじわるされることもある!

中学時代、姉がバスケ部で一緒だったんですけど、姉はすごくかわいかったので、先輩に呼び出されてすごくいじめられたみたい。結局、中学で辞めてしまいました。

女同士の嫉妬(笑)。

自分の経験でいうと、大学1年生のときラクロスでわざと目にボールぶつけられたことがありますよ。

なんでわざとってわかるの?

謝らなかったの、そのときも、あとからも。しかも当たるはずのないシチュエーションだったのに。私、1年生だったんですけど4年生の先輩と仲良かったんですよ、中高時代のバスケ部の先輩で。その先輩が試合のメンバーを選ぶんですけど、1年生のくせにその先輩と仲良かったんで2,3年生の先輩は気に入らなかったみたい。

目に付く人はやられますね。

ちょっとかわいいとか、後輩なのにうまいとか。学生のスポーツではよくある話だよね。

立場やレベルの違いによる葛藤も。

剣道は小学生のとき親に強制的にやらされたんですけど、中学で剣道部に入るとほとんどが初心者だから必然的に部長になって。モチベーションの話に近い部分もあるけど、どうしても立ち位置が難しくて、仲はいいけどフラストレーションがたまったり。高校のときもずっと部長をやってたんですが、部長だから注意しなくちゃいけないけど、仲良くもしなくちゃいけない。胃腸炎になりそうなくらい悩みました。

私もありましたね。小学校から大学まで同じ学校に通っていて、小中高一緒にバスケをやってた子と大学でラクロスをやっていたんですが、けっこうな問題児が多くて(笑)。私自身はその子たちと仲は良かったんですが、先生や先輩、後輩の機嫌やモチベーションを保つのが本当に大変で。とくにキャプテンをやっているときはチームの調和を取ることばかりに気がいってしまって。自分のプレイよりはチームがもめないことばかり考えていましたね、大学までは。

私もいろいろ葛藤がありましたね。高校がすごく強かったので、大学のチームではトライアウトも受けずにAチームに入れたんですよ。でも、本当は高校で辞めようかと思っていたくらいだったんで、そんなに期待されたくもなくて。しかも、チアは大学から始める人が多いから、経験者で、しかも強い学校から来たとなると大学でちゃんと育ててもらえないんですよ。自分でうまくなっていかないといけないんですけど、やっぱりそれは難しい部分もあって。なんとか2年生までうまくやってたんですけど、結局、3年生になって初めてBチームに落ちてしまって。うまくなっていかないのがすごくイヤでしたね、練習してないわけじゃないのに。あと、もう少し客観的に見てくれる人がいたらよかったっていう思いもあります。大学は顧問が時々見に来るだけのおばあちゃんだったんで、そういう部分での納得感もちょっと......。

それはちょっと納得いかないね。ラクロスは実力主義だったんで、極端にいえばチームを乱すような子でもうまければレギュラーになれた。でもそれはそれで、「なんであの子が」みたいな声ももちろんあったり。

私は小学校、中学校と自分が一番強かったし、高校のときもずっとキャプテンで、練習環境に悩みました。剣道は対人なので、練習相手が少なかったり、相手のレベルが低いと技も磨けないというか。そんななかでずっとやっていたんですが、高校のとき私の結果が関東大会出場をかけていた試合があったんですけど、結局引き分けで終わってしまったんです。大学のときも、私が勝てばという試合で負けて。結局、あと一歩のところで勝てなかった。頼ってもらって勝たなければいけないのに勝てない自分が嫌になって、 自分の力不足を練習環境のせいじゃないかとてしまったり。そんな風に考えてしまう自分も嫌で、ちょっと辛かったです。

(続き) それでもスポーツする理由とは?

1 2 Next Lsat
TOP