「第3回ジャパンコーチズアワード」開催。 箕面自由学園高等学校チアリーダー部・野田一江ヘッドコーチが特別賞に輝く。

各競技で成果を収めた指導者を表彰する日本のスポーツ指導者の祭典「第3回ジャパンコーチズアワード」が1月28日、東京都内のホテルで開催。女性指導者では、箕面自由学園高等学校チアリーダー部ヘッドコーチ・野田一江さんが特別賞を受賞した。

野田さんが指導する箕面自由学園高等学校チアリーダー部は1991年に創部。1998年、高校チアリーディングの最高峰とされる「ジャパンカップチアリーディング日本選手権大会」で優勝。2001年からは圧倒的強さを見せつけ、2009年まで9連覇を成し遂げた。現在もジャパンカップ5連覇、全日本高校選手権においても6連覇と、高校チアリーディング界をリードし続ける。

1991年、同校で音楽の非常勤講師をしていたところ白羽の矢が立ち、チアリーディング指導者の道を歩むことになった野田さん。最初は手さぐり状態で指導していたが、今では、限られた時間内で表現力や技術を競い合うチアリーディングを誰よりも熟知。「一瞬の迷いやズレがすべてを狂わす」と、選手達にはトレーニングから一瞬の隙を見せることをも許さない。また、身体作りにおいてもその信念は同様。「日本一の筋トレ」と評されるハードなトレーニングを積むなど、心身への徹底したアプローチを行うことで、常勝軍団を作り上げている。

そんな功績が称えられて受賞に至った野田さんの指導法を聞いた。

――特別賞を受賞した、今の心境をお聞かせ下さい。

「本当にうれしく思います。私一人だけの力ではなく、監督を始めコーチ陣、そして、選手達と常に『日本一になるんだ』と言い続けてやってきたからこそ、受賞できたと思っています」

――常勝チームを作り上げる、野田さん流の指導法とはどのようなものでしょうか。

「就任当初は選手と歳も近かったので、同じ目線でチームを作ることができました。しかし就任5年目のことでした。全日本選抜チアリーディング選手権大会で優勝し、本大会でも優勝を目指そうと、一人一人に思いを込めて手紙を書いたんです。ところが、それが逆効果となってしまいました。選手達のメンタルが『勝つ』から『コーチのために』となり、感情を必要以上に高めてしまった。結果、本来の演技ができず、優勝を逃す結果になりました。

 その日は一晩中、選手と一緒に帰りのバスの中で泣き明かしました。その日をきっかけに『本当に強くなり、勝つためには、指導者は選手との距離感を取ることが大切』と感じ、妥協しない指導へと切り替えました。それまでは3年生を優先的にメンバーに入れていましたが、廃止。学年に関係なく、大会ごとに課題を与えてトライアウトを行って、メンバーを選抜。なあなあの優しいだけのコーチではダメ。シーズン最後の大会が終わるまで『褒める』ことを封印しています。時にはわざと怒ったり、厳しく指導することもあります。

 あの時は私のせいで負けた。だから、その後の選手達に同じ思いをさせたくなかった。心を鬼にして、日本一になるためには妥協しない。その心構えで、今に至るまでやってきました」

――その妥協のない指導は「日本一の筋トレ」といわれるハードなトレーニングにも表れています。

「うちのチームは部員が76人いますが、週末に必ず1時間ぐらい、全員で一斉に筋トレをします。例えば腕立て伏せにしても回数を決めてグループで競い合って行うのですが、一人でも手を抜けば、それは連帯責任。集中してできるまで何度もやり直させます。クリアしたグループもそれで終わりではなく、全員が終わるまで励ましながら続ける。自分のせいで仲間に迷惑がかかってはいけないので、みんなが集中して取り組みます。

 チアリーディングは油断をすると、大怪我につながる競技でもあります。だから、身体作りは重要。また演技をする上で、仲間を信じる信頼関係が一番大切です。フィジカルだけでなく、そういったメンタリティも筋トレや日々の練習を通じて養っています」

――指導者としての今後の目標を教えて下さい。

「私達は常に日本一を目指しています。連覇を考えるのではなく、常に昨年のゴールデンベアーズを超える日本一になりたい!『できない』という固定概念を捨て、新しい技にチャレンジしていく。そんな『進化し続けるチーム』を作りたいと思っています」

 日本一を目指し、走り続けて26年。どんな小さな妥協も許さず、チャレンジ精神にあふれる野田さん。彼女が作るチームは、今後も日本のスポーツシーンを美しく、熱く彩っていくことに違いない。


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